【保存版】有給を使い切るのは非常識ではない!取得申請のコツ

この記事では有給を使い切るのは非常識なのか?を徹底的に解説します!みんなが有給申請がしにくい理由とは?パワハラに該当するのか、有給を拒否(否定)ができない労働基準法の決まり、会社が取らせてくれない場合の相談先、有給を使い切る取得のコツまで、紹介していますので最後までご一読ください!

この記事の結論(この記事は3〜5分程度で読めます)
・有給を使い切ることは非常識ではないです!労働基準法に基づくルール
・有給を使い切るコツには「早めの申請」「スムーズな業務引き継ぎ」「休暇の取り方」など5つあり
この内容を詳しく、記事で解説していきます!最後までお読みください

目次

そもそも有給制度とは?付与日数や消化率

有給制度とはなに?出勤扱いになるの?給料は?

有給制度とは、労働者が心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を保障するために付与される休暇制度。有給休暇を取得しても賃金が減額されないため、出勤扱いになります。

「労働基準法第39条」により、使用者は全労働者の中から、雇入れの日から6か月間継続勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、10労働日の有給休暇を付与しなければならないと定められています。

その後は、1年毎に8割以上出勤した場合は、法令で定められた日数を付与することになります。有給休暇の給料は、通常の労働日に支払われる賃金と同額が支払われます。有給休暇は、労働者の立派な権利と言えます。

有給制度のある会社、ない会社がある?

有給休暇は「労働基準法第39条」により定められているルールです。つまり、有給制度のない会社は、労働基準法違反をしていることになります。有給制度のない、または制度をはぐらかすようなケースがあった場合は、「労働基準監督署」など、専門機関に相談が必要です。

有給制度の確認について
・就業規則を確認する
・雇用契約書を確認する
・給与明細を確認する
・上司や人事部に確認する

有給休暇は、労働者の権利です。有給制度の曖昧な会社に勤めている場合は、自分の権利を守るためにも、きちんとした対応をしていきましょう。

一般企業の年間有給付与日数の平均は?取得率(消化率)はどのくらい?

日本の有給制度の平均的な日数は17.6日です。これは、厚生労働省の「令和4年就労条件総合調査」の結果に基づくものです。

この調査によると、企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数を除く。)は、労働者1人平均17.6日で、このうち労働者が取得した日数は10.3日でした。取得率は58.3%で、前年度調査に比べて0.7ポイント上昇しています。

有給制度の平均的な日数は、企業規模や業種によっても異なります。企業規模別では、従業員500人以上の企業の平均が20.3日、従業員100人未満の企業の平均が13.7日と、規模が大きいほど平均日数が多くなっています。業種別では、サービス業が19.9日、製造業が17.0日、卸売・小売業が16.7日と、サービス業が最も多くなっています。(出典:令和4年就労条件総合調査

ライフハック+編集長

有給制度は労働者が守られるための制度で、正式に義務付けられているものです。日本では平均取得率は約半分で、それよりも少ない場合は対応を検討していきましょう。

有給を使い切るのは非常識?当たり前?

有給を使い切るのは非常識なの?

結論から言うと、有給を使い切るのは非常識ではありません!むしろ、労働者の権利として当然のことであり、会社は有給の取得を促進する義務があります。

労働基準法第39条では、労働者に1年6か月継続勤務した時点で10日以上の有給休暇を付与することが定められています。また、有給休暇の取得は労働者の権利であり、会社は労働者の有給休暇の取得を拒否することはできません。

有給休暇は、労働者が心身を休め、リフレッシュするためのものです。また、長期休暇を取得することで、旅行や家族との時間を過ごすなど、人生の充実にもつながります。

日本では有給休暇の取得率が低いことが問題?

一方で、日本では有給休暇の取得率が低いことが問題となっています。厚生労働省の調査によると、近年の有給休暇の取得率は58.3%であり、10年前と比べてわずかに改善した程度です。

有給休暇を使い切るのは、労働者の権利を主張し、ワークライフバランスを実現するための重要な手段です。会社や上司から非常識だと言われてしまうこともあるかもしれませんが、堂々と有給休暇を取得しましょう。

有給休暇の使いすぎに対する会社評価は?使いまくる人のイメージ

とはいえ、通常の会社では「顔色を伺う」という日本独特の考え方が根付いているのも事実です。人事評価では「勤務態度」「勤務日数」を評価項目に入れている企業もあり、有給休暇の活用が全く会社評価に影響をしないとも言えないでしょう。

有給休暇を、法律で定められた通りに取得することは当然のことです。しかし、あまりにも頻繁に有給休暇を取得していると、会社側から「仕事に熱心ではない」「責任感が欠けている」といった印象を持たれる可能性も。ここは、いま勤めている会社の社風や考え方にどうしても偏ってしまい兼ねません。

会社からの見られ方を判断をするには以下のポイントを考えてみましょう。

有給休暇取得と会社評価の判断ポイント
・会社全体(周りの人)は、年間どの程度有給を消化しているのか
・有給の消化率は、特に自分と同じ部署、自分と同じ役職の人を参考にする
・直属の上司がどの程度、有給を消化しているのか
・所属会社の特に繁忙期や重要なプロジェクト進行機と重なっていないか
・直近で自分自身の実績具合はどの程度か

これらのポイントを少し意識してみましょう。もちろん、すべてのことを気にしていては有給が取りづらいことでしょう。最終的には「有給は使い切って当然」と言う気持ちで問題ないですが、会社と労働者の双方が納得できる範囲で取得するように心がけましょう。

一般的に有給を取りにくい理由は何?嫌な顔された?

厚生労働省が実施した「有給休暇に関する意識調査」では、約7割(68.6%)の労働者が年次有給休暇の取得にためらいを感じている結果になっています。その理由として、以下のような回答が明らかになっています。

有給休暇が取得し辛い理由ランキング
・1位:みんなに迷惑がかかると感じている(58.7%)
・2位:あとで自分が多忙になる(42.3%)
・3位:職場の雰囲気で取得し辛い(36.4%)(参考:厚生労働省調べ)

結果の通り、「休んでばかりいると思われる」「周りに迷惑がかかる」などの理由で、有給休暇を取得しづらい雰囲気や風土が職場に根付いている場合が多いことが分かります。

有給休暇は労働者の権利であり、取得を拒否することは違法です。しかし、実際には上司や同僚から「休むのは悪いこと」という雰囲気を醸成され、取得が難しい状況になっているケースが多くあります。

また、仕事の量や業務体制が原因で、有給休暇が取得しづらい場合もあります。繁忙期や人員不足などの理由で、有給休暇の取得が難しい場合もありますが、これは会社側の責任と言えるでしょう。

こんな時はどうする?有給取得に関連するトラブル対処

有給を使わせてくれないのはパワハラ?

有給休暇の拒否は、労働基準法第39条の規定に違反する可能性があるため、パワハラに該当する可能性があります。労働基準法第39条では、労働者は、年次有給休暇を請求したときは、使用者は、その請求を拒むことはできません。ただし、業務の正常な運営を妨げる場合においては、時季変更権を行使することができます。

つまり、会社は、繁忙期や決算期など、業務に影響が出てしまう場合に、有給休暇の取得時期を変更するよう促すことができます。その場合でも、労働者の意思を尊重し、できるだけ本人の希望に沿うように調整する必要があります。

会社が有給を教えてくれない?有給休暇を取らせてくれない時の相談先は?

方法
会社に直接問い合わせる

まずは、会社に直接問い合わせて、有給休暇の残日数や取得方法を教えてもらうようにしましょう。給与明細や就業規則を確認しても分からない場合は、総務部や人事部に問い合わせるのが一般的です。

方法
労働基準監督署に相談する

会社が有給休暇の取得を拒否した場合は、労働基準監督署に相談することもできます。労働基準監督署は、労働者の権利を守るために設置された行政機関です。ただし、企業側の違反行為の証拠ないと動いてくれない可能性もあります。

相談前の準備物
・雇用契約書
・就業規則
・給与明細
・有給休暇の申請書
・有給休暇を取得できなかった明確な日付や理由の整理
・会社が必要な措置を講じなかったことを証明できる資料を用意(テキスト・メール・書面等)

有給休暇の取得は労働者の権利であるため、会社がこれを拒否した場合は、労働基準監督署から指導や是正勧告を受ける可能性があります。

方法
弁護士に相談する

会社と交渉しても解決しない場合は、弁護士に相談することもできます。企業の労働問題も専門分野としている、弁護士への依頼しましょう。会社と交渉したり、訴訟を起こしたりして、有給休暇の取得を実現してもらうことができます。

有給休暇は、労働者の権利です。会社が有給休暇を教えてくれない場合は、上記の対処方法を検討しましょう。なお2019年4月から、年に10日以上の有給休暇が付与されている労働者には、5日取得させることが義務付けられました。

労働者に年5日以上の有給休暇を取得させる義務があります。そのため、会社は労働者が5日以上有給休暇を取得できるように、必要な措置を講じなければなりません。

会社が時季変更権を行使して取得日を変更する場合には、会社が合理的な理由を示す必要があります。もし、会社が合理的な理由を示さない場合には、労働基準法違反の可能性が高いと言えます。

なお、労働組合に加入している場合は、労働組合に相談することもできます。労働組合は、労働者の権利を守るために会社と交渉することができます。

有給申請に対し「使いすぎ」「評価を下げる」と言われた場合は?

有給休暇は、労働者の権利です。上司の指摘をただ受け入れるのではなく、自分の意見をしっかり伝えて、納得のいく対応をするようにしましょう。

有給を「使いすぎ」など指摘された場合
・まずは分析(会社内で「使いすぎ」に該当しているのか、取得平均日数を確認する)
・業務に支障をきたすような理由であれば、その理由を説明して、改善策を提案する
・業務に支障をきたさないような理由であれば、自分の立場や考えを説明する
・上司の指摘を参考にして、有給休暇の取得を調整する
・上司と話し合い、有給休暇の取得に関するルールを明確にする

など、堂々と対応を行っていきましょう。ただし有給申請のタイミングで「評価を下げる」などの、言葉があった場合は話が変わります。厚生労働省の公式HPでは以下のように回答されています。

賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない、ということを規定しています。年次有給休暇の取得を、賞与査定のマイナス要素として扱うことはこの規定に抵触することになりますので許されません。

厚生労働省HP

つまり企業側の正当なやり方ではなく、労基法で禁止されてることです。会社が取得を拒否することや、評価要素として扱うことはできないルールなのです。

ライフハック+編集長

会社側から有給休暇を取得することを理由に評価を下げられる場合は、毅然とした態度で対応し、自分の権利を守るようにしましょう。

「有給申請」に関する世間のリアルなイメージ(SNS投稿)

リアルな投稿を見ると、周りの顔を窺っていたり、有給申請のしづらさを訴える人は多く、申請をうまく習得するコツや、経営者側の有給の必要性を訴える投稿も見かけます。

ライフハック+編集長

これら投稿はほんの一部ですが、有給申請が取得しにくいと言う気持ちは多くの人が抱えていると言えるでしょう。

企業側も知っておきたい「有給制度」に関すること

有給を無理やり(強制的)に使わせることはできる?計画年休とは?

会社が有給休暇を強制することはできません。有給休暇は、労働者が有する権利であり、その権利の行使は労働者次第です。有給休暇を取得することはもちろん、取得しないという選択も可能です。

会社が有給休暇の消化を強制すると、労働基準法違反となります。また、労働者の同意なく有給休暇扱いで残日数を消化するのも違法です。

ただし「計画年休」という制度があります。計画年休とは、労使協定を結ぶことで、企業側が労働者の有給休暇取得日をあらかじめ決められる制度のこと。

例えば、有給が10日間付与されている場合は、5日間分の有給休暇日について企業側が指定して労働者に休んでもらうことができるのです。計画年休の導入は、労働者の有給休暇取得率を向上させるために有効な手段として、多くの企業で導入されています。

計画年休制度のメリット
・労働者の有給休暇取得率を向上させる
・繁忙期を避けたりシフトに影響の少ない形を取ったり柔軟に対応可能
・業務に支障をきたさないよう、従業員に休んでもらう工夫ができる
・あらかじめ誰が何日に休むのかを把握していれば、チーム内での業務の割り振りなどを効率的に行える

反面「労働者が自由に休暇を取得できない」「労働者の希望が反映されにくい」など、起こる可能性もあります。計画年休は、労働者の有給休暇取得率を向上させるための有効な手段ですが、労働者の自由を制限する側面もあります。導入にあたっては、労働者の意見を十分に聴取し、納得のいく制度を構築することが大切です。

有給休暇の取得に理由は必要?しつこい場合はどうなるの?

有給休暇の取得理由についてしつこく聞くことは、パワーハラスメントに該当する可能性ありです。法的には、有給休暇の取得理由は詳細に説明する必要はなく、会社にも理由を伝える義務はありません。会社から理由を求められても、「私用のため」と伝えるだけで十分です。

例えば、「娯楽のためだから取得しないでほしい」といった理由で取得を断るよう求めたり、申請を取り下げるよう圧力をかけたりする行為は、明らかなパワーハラスメントと言えるでしょう。

会社は、労働者が有給休暇を申請した際に、その理由が理解できないまたは気に入らないという理由で拒否することはできません。また、代替要員の配置は会社の義務とされています。

企業側が有給休暇を拒否できる場合はある?合理的な理由は?

企業側が有給休暇を拒否できる場合は、労働基準法第39条5項ただし書に定められている「事業の正常な運営を妨げる場合」に限られます。

合理的な理由として考えられる事例
・業務の繁忙期で、複数人が同時に休暇を取得すると業務が滞る可能性がある場合
・特定の従業員でなければできない業務があり、その従業員が休暇を取得すると業務が遂行できない場合
・業務の都合上、代替要員を確保できない場合

追加で検討される判断材料
・会社の事業規模、内容
・労働者の担当業務、作業の繁閑
・代替者配置の有無
・従業員の有給休暇の取得希望日
・従業員の有給休暇の取得状況

ただし、これらの理由はあくまでも「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するか否かの判断基準であり、必ず認められるとは限りません。

「時季変更権」の行使とは

有給の「時季変更権」とは、従業員が希望した取得日を変更できる企業側の権利のこと。ただし基本的には従業員の申し出に従う必要があり、事業の正常な運営を妨げる場合を除いては、行使できません。

時季変更権を行使する際には、労働者に代替の取得日を指定する必要があります。企業側が時季変更権を行使する場合は、上記の点を十分に検討し、労働者に不利益となることがないよう配慮することが重要です。

時季変更権の行使について
・時季変更権は、あくまでも例外的な権利であり、従業員の自由な取得が原則であることを忘れないこ
・時季変更権を行使する際には、事業の正常な運営を妨げる理由を従業員に十分に説明すること
・従業員が時季変更に同意しない場合は、時季変更権を行使することはできない
・時季変更権を行使したことで、従業員が損害を被った場合は、使用者が損害賠償を負う可能性がある

なお、企業側が時季変更権を行使せずに、正当な理由なく有給休暇の取得を拒否した場合は、労働基準法違反となります。労働者は、有給休暇の取得を拒否された場合には、労働基準監督署や労働組合に相談する行動が取れます。

有給休暇制度に関連して労基に訴えられた会社はどうなる?

有給休暇制度に関して労基に訴えられた会社は、以下の3つの可能性があります。

対応1:行政指導を受ける

労基署は、労働基準法に違反する事実が認められた場合、会社に対して行政指導を行うことができます。行政指導の内容は、違法行為の是正や再発防止策の策定などです。行政指導に従わない場合は、罰金が科される可能性があります。

対応2:罰金が科される

労働基準法違反は、刑事罰の対象となる場合も。有給休暇の取得を妨げた場合は、労働基準法第130条第1項に規定する「労働基準監督官の指示に従わなかった者」として、30万円以下の罰金が科される可能性があります。

対応3:訴訟で敗訴し、損害賠償を支払う

有給休暇の取得を妨げた場合は、労働基準法第39条第5項に規定する「使用者が労働者に有給休暇を取得させる義務を怠ったとき」に該当し、労働者から損害賠償を請求される可能性も。損害賠償の額は、労働者が被った損害の額に応じて、慰謝料や休業損害などが認められる可能性があります。

有給休暇制度を適切に運用するためには、労働基準法の規定を正しく理解し、違法行為がないよう注意する必要があります。

有給を使い切るの非常識?関連する質問まとめ(Q&A)

有給を「私用」で取得するのはダメ?有給取得理由のウソ・ホントは?

「私用」を理由とする有給休暇の取得は問題なく認められます!多くの会社で有給休暇を申請する際に、取得理由を記載する項目が設けられていますが、仮に理由がなかったとしても問題はなく、取得できないことはありません。

実際には、上司が有給休暇の取得理由を確認し、場合によっては「私用」と言う理由ではなく、何かしらの理由を求められるケースも。しかし前述の通り、しつこい理由の強制は違反行為の1つでもあります。業務に支障をきたさない配慮は考慮して、あとは堂々と理由を伝えましょう。

有給を1年間で使い切ったらどうなる?使い切ったらいつ復活?

有給休暇は、労働基準法で、雇い入れ日から6か月継続勤務し、出勤率が8割以上の労働者に、付与が義務付けられています。有給休暇は、基準日(通常は入社日から6か月後の日)に付与され、付与された日から2年以内に取得する必要があります。

例えば、2023年4月1日に入社した従業員の基準日は、2023年10月1日となります。この従業員は、2023年10月1日に10日間の有給休暇を付与されます。この従業員が、2025年10月1日までに10日間の有給休暇を取得すれば、すべての有給休暇が復活します。

有給はいつまで?1年で使わないと消えるの?買い上げ(買い取り)とは

有給制度:繰越制度とは

有給の繰越制度とは、従業員に付与した有給休暇のうち1年以内に使い切れなかった分の日数を翌年へ繰り越せる仕組みのことです。1年以内に消化できなかった有給休暇は、翌年に繰り越して2年間以内に消化することができます。

繰越制度のルール
・付与日から2年以内であれば繰越が可能
・繰越日数に上限はない
・繰り越された有給休暇は、翌年1月1日に付与されたものとして扱われる

有給休暇の繰越は、従業員が休暇を取得しやすい環境を整えることにつながります。また、企業側としても、従業員の有給休暇を有効活用できるというメリットがあります。

なお、2022年4月1日以降に労働契約を締結した従業員は、付与されてから1年以内に5日間の有給休暇を取得することが義務付けられています。この5日間の有給休暇は、翌年に繰り越すことはできません。

有給制度:企業側の買い取りとは

有給休暇は、付与されてから2年間でその権利が消滅します。2年の間に使い切れなかった有給休暇は、買い取りが認められています。有給制度は2年で期限切れ(リセットされる)と認識しておきましょう。

買い取りは、労働基準法で定められた義務ではありません。基本的には、従業員から正当な理由で申請があった場合にのみ買取が可能です。理由としては、有効期限内や退職前にすべての日数を消化しきれなかった、といったことがあり得ます。

ただし、企業側は買い取らないという選択をして従業員からの申請を拒否しても問題ありません。有給休暇は、付与されてから一定期間経過すると権利が消滅する「時効」の対象となります。労働基準法においても、この時効制度が示されています。

企業は時効が適用された有給休暇を買い取ることで、従業員に不利益をもたらすことなく、残った有給休暇を解消することができます。

有給なしで会社を休んだらどうなる?

有給なしで会社を休んだ場合、欠勤扱いとなります。欠勤とは、本来出勤すべき日に休むことです。有給休暇は、労働者の権利として取得できる休暇であり、会社都合で休む休業とは異なる点です。欠勤の場合は、「給与への影響」「評価への影響」の2つが発生すると考えましょう。

体調不良で休んだ場合でも、有給休暇が残っていないと欠勤扱いとなります。欠勤控除により、給与が減額され、評価にも影響を与える可能性があるため、体調不良で休む場合は、早めに会社に連絡して有給休暇を取得するようにしましょう。

無断欠勤は、会社にとってかなり印象が悪く、何らかの処分を受ける可能性もあります。無断欠勤が何度か続く場合は、会社に損害を与える行為とみなされ、懲戒処分として減給や出勤停止、解雇などの処分が科されるケースも。有給休暇がない場合は、早めに会社に連絡して、欠勤の理由と予定を説明するようにしましょう。

有給を使い切った後に欠勤するにはどうしたらいい?

欠勤の場合は、以下の手続きを行いましょう。欠勤届は、欠勤の理由や期間などを記載した書類です。会社によっては、就業規則に欠勤届の様式が定められている場合もあるので、確認しておきましょう。

STEP
欠勤届出の作成

欠勤届は、会社ごとにフォーマットが異なる場合がありますので、就業規則や人事部に確認しましょう。一般的には、以下の項目を記載します。

・氏名
・所属部署
・部長名(直属の上司名)
・欠勤日(欠勤期間)
・担当業務の状況(引き継ぎ状況等)
・欠勤理由(ケガ・病気・法事などのやむを得ない理由等の記載)
・提出日
・署名(捺印)

STEP
欠勤届出の提出

欠勤届は、欠勤する日の前日までに提出するのが一般的です。提出先は直属の上司、または人事部、総務部などが一般的です。会社によっては、欠勤する日の当日でも提出できる場合があります。

STEP
担当上司への連絡(事前報告

欠勤届の提出に加えて、上司に直接連絡することも大切です。欠勤理由や業務の引き継ぎなどについて、上司と相談しておきましょう。

なお、欠勤は有給休暇とは異なるため、給与は支払われません。欠勤が続く場合、人事考課に影響する可能性もあることを考慮しておきましょう!

退職前に有給を使い切るコツとは?全部使い切って退職はできるの?

退職時に残っている有給休暇は、すべて使い切ってから退職することができます。退職前に有給休暇を取得する場合、次のようなポイントを考慮して取得していきましょう。

コツ1:早めに退職を申し出る

退職を申し出るのが遅いと、有給を取得する猶予が少なくなってしまいます。退職を申し出る際には、有給をすべて使い切りたい旨を伝え、退職日を調整してもらいましょう。

コツ2:有給消化のスケジュールを立てる

退職日までに有給をすべて使い切るには、スケジュールを立てて計画的に取得することが大切です。退職日までの残り日数や、取得したい有給の日数を把握し、余裕を持ってスケジュールを立てましょう。

コツ3:業務の引き継ぎを考慮しておくこと

業務の引き継ぎの段取りを素早く済ませることは、退職前にすべき大事なポイントです。お世話になった会社に対して、気持ちよく退職するための後始末だと言えます。

上引き継ぎ業務には、想定できないトラブルも付きものです。早めに上司や関係部署の同僚に相談しておくと、円滑に進む可能性が高まります。

コツ4:有給消化の申請を早めに行う

有給を取得する際には、申請を早めに行うことが大切です。申請が遅れると、希望の日程で取得できない可能性があります。

コツ5:休暇の取り方を工夫する

有給をまとめて取得すると、業務の引き継ぎが難しくなる可能性があります。休暇の取り方を工夫して、業務の引き継ぎがしやすいようにしましょう。

また退職前に有給を使い切れなかった場合、会社が有給休暇を買い取ってくれる場合があります。買い取価格は会社によって異なりますが、1日あたりの給与の3分の1程度が相場です。退職前に有給を使い切ることは、労働者の権利です。

大事な心構えとして、企業側には迷惑をかけない配慮を持つこと。引き継ぎが完了していない状態で有給を取得すると、周囲に迷惑をかけてしまう可能性があります。引き継ぎが完了するまでは、有給を取得しないことを心がけましょう。上記のコツを参考に、企業側に迷惑をかけないように最新の注意を払って、有給休暇取得を進めましょう。

記事のまとめ:有給を使い切るのは非常識?について

さて、ここまで有給を使い切ることと、企業側の見られ方や常識、非常識について解説をしました。有給申請は従業員側の大切な権利で、企業側は拒否や無視ができるものではありません。

とはいえ、申請する側にとっても、働いている人へ迷惑がかからない配慮を持つことが重要です。本コラムを参考に、気持ちよく有給取得ができるよう参考にしてみてください!

この記事の参考文献

エン転職
みんなの転職体験談
バイトルマガジンBOMS
ベンナビ(労働問題)

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