
お盆やお彼岸など、家族や親戚が集まって御墓参りをする時期には、墓石をキレイに掃除しておきたいものです。家から遠いと、頻繁に掃除に行くことができず、コケや水垢などが目立ってしまうこともあります。
本記事では、重曹やクエン酸など効果的な墓石掃除の方法をご紹介します。
墓石には素材の種類がある?2種類とお手入れの違い
御影石(花崗岩)
墓石の素材のうちの1つが、御影石(花崗岩)です。吸水率が低いので、雨や雪の水を吸い込みにくく、ひび割れることが少ないという特徴があります。また、丈夫で硬いので、お手入れもしやすいといえます。
安山岩
墓石の別の種類が安山岩です。白っぽい色が特徴で、花粉などの汚れが目立ちにくいでしょう。硬度が高くて、太陽光や雨にも比較的強い傾向があるので、掃除がしやすい素材です。
墓石の掃除に準備したいアイテム4選
スポンジ
墓石の掃除に準備したいアイテムの1つがスポンジです。広い範囲を掃除するのに便利です。硬い素材のスポンジを使うと、墓石を傷つけてしまう場合がありますので、100円ショップ等で販売されている、柔らかい素材のものを選ぶことをおすすめします。
使い古しの歯ブラシ
墓石の細かい部分や隙間の掃除には、使い古しの歯ブラシを活用できます。スポンジと同じで、硬いブラシではなく柔らかいタイプの歯ブラシを選ぶほうが無難でしょう。
軍手
100円ショップ等で安価な軍手を購入し、二重にして墓石をなでるように拭くと、効率よく掃除ができます。汚れが溜まりやすい部分も、指を使って丁寧に掃除ができます。
墓石のコケ・カビ専用の洗剤
墓石のコケやカビを落とす専用の洗剤が、1,000円前後で販売されています。インターネット通販等で入手できますので、コケやカビが目立つ際に使えます。
ただし、使う前に目立たない場所で変色がないか確認することと、掃除の後はしっかりすすぐことが大切です。

墓石掃除(クリーニング)を自分で行う3ステップ
墓石の掃除を行う際には、優しく丁寧に行うことが重要です。以下に、3ステップに基づいて解説します。
STEP1:墓石に水をかけてスポンジ+歯ブラシ+軍手で洗う
まずは墓石にペットボトルなどを使って水をかけましょう。これにより、埃や汚れが浮き上がり、掃除がしやすくなります。
墓石掃除には軍手は必須です。軍手をはめることで手を保護し、滑りにくくします。また、軍手は墓石の表面の汚れをやさしくこすり落とすのに役立ちます。
広い面はスポンジで、隙間は歯ブラシで、細かい部分は軍手を使って洗っていきます。 細かいデザインや文字部分のような、スポンジでは届かない部分は、古歯ブラシが最適です。黒ずみや汚れが気になる部分は、丁寧に洗い落とします。上から下に掃除していくことがポイントです。
STEP2:コケやカビを専用の洗剤で掃除する
長期間掃除ができなかった時など、コケやカビが目立つ場合は、墓石専用の洗剤を使って掃除をします。汚れや苔が目立つ箇所は、一定時間洗剤を放置して、墓石に馴染ませましょう!
その後スポンジや歯ブラシ、軍手に洗剤を染み込ませ、汚れが目立つ部分を重点的に掃除をします。
STEP3:全体をしっかりすすぎ、拭きあげる
洗剤や落ちた汚れを完全に洗い流すため、墓石全体をたっぷりの水でよくすすぎます。洗い終わった後、乾いた布やタオルで墓石の水気をしっかりと拭き取ります。最後に、自然に乾燥させます。
直射日光や強風の中で乾燥させると、墓石にダメージを与えることがあるので注意してください。
墓石の汚れ別の掃除方法とは?8種類の特徴別に
ほこりや土の汚れ
水でしっかりと湿らせた布やスポンジでやさしく拭き取ります。強くこすると石を傷つける可能性があるため注意が必要です。
鳥のフン
水で湿らせた布やスポンジを使って、優しくこすり取ります。乾燥して硬くなっている場合は、水をかけて少し柔らかくしてから掃除すると良いです。
コケや青カビ
専用のコケ取り剤やカビ取り剤を使います。使用する前にラベルの指示をよく読み、指定の時間だけ放置した後、ブラシやスポンジでやさしくこすり取ります。
黒ずみやシミ
墓石の材質に適したクリーナーを使用し、シミや黒ずみを取り除きます。墓石の黒ずみは、水洗いで落とせることがほとんどです。範囲が広い場合は柔らかいスポンジを、さほど広くない場合は軍手を使ってこすり落としていきます。固くこすり過ぎないよう注意が必要です。
水垢の汚れ
水垢も、基本的には水と歯ブラシで掃除をすれば落とせることが多いでしょう。手の入らない部分には、雨水が溜まりやすく水垢が付着することが多いので、歯ブラシや軍手を活用して、狭い隙間もキレイに掃除をすることが大切です。
白い粉状の汚れ(白華)
白華は石の成分が溶け出して固まったもので、通常の方法では取り除けません。専門の業者に相談するか、白華取りの専用剤を使用します。
硬水による白い跡
硬水の塩分によって残る白い跡は、酸性のクリーナー(例:クエン酸)で除去することができますが、石にダメージを与えないよう注意して使用する必要があります。
油性の汚れ
中性洗剤や墓石用の洗剤を使って、油性の汚れを除去します。
以上の方法に加え、掃除後は常に墓石を良くすすぎ、乾いた布で水気を拭き取り、完全に乾燥させることが重要です。そして、掃除の際は、墓石の材質や洗剤の成分に注意を払い、適切な方法で行うよう心掛けてください。

ここには注意を!墓石の掃除で注意することとは?
墓石は大変デリケートで、表面にコーティング加工が施されているものもあります。そのため、硬いスポンジや歯ブラシを使ったり、強い力で何度もこすったりすると、表面の風合いや加工が失われてしまうことが考えられます。柔らかい素材の掃除用具を選び、軽い力でこするように注意します。
また、墓石の種類によっては、専用の洗剤でも使用できないことがあります。洗剤の注意書きと墓石の種類を事前に確認し、使えるかどうかチェックしておくことが必要です。使える種類の墓石だった場合でも、掃除の前に目立たない場所で変色がないか確認することをおすすめします。
墓石を綺麗に保つための7つのコツ(メンテナンス方法)
汚れやコケが付着する前に、定期的に墓石を清掃することで、長期的なダメージを予防できます。年に3~4回(季節に1度)の頻度で清掃できると良いです。
墓石の材質に合わせて、柔らかい布やスポンジ、ナイロン製のブラシを使用し、石の表面を傷つけないように注意しましょう。
墓石にダメージを与えないように、pH中性の洗剤を使用しましょう!アルカリ性や酸性の強い洗剤は石を傷つける可能性があります。
洗剤の残留物が墓石にダメージを与えることを防ぐため、清掃後は水で十分にすすぎましょう。水滴を残さないことが水垢防止につながります。
可能であれば、墓石が直射日光を受けない場所を選ぶか、遮光するものを配置すると良いです。直射日光は石を劣化させる原因となります。
同様に雨や雪にも注意。雪や雨水がたまらないような場所や角度で墓石を配置すると、水分による劣化を減少させることができます!
冬の寒さや夏の高温、春の花粉など、季節ごとの特有の要因に注意を払いながらメンテナンスを行うこともポイントです!
専門業者(もしくはご自身で)による防汚コーティングを施すことで、墓石の汚れを予防することができます。防汚コーティングを施すことで、天候などの劣化を防ぎ、きれいな状態に保つことができます。
墓石に塗布することで、墓石の表面に薄い膜を形成し、汚れが付着するのを防ぐものです。また、防水効果や耐久性も高まり、墓石を長持ちさせることができます。
お墓が家から近く、定期的に掃除に行ける場合は、1ヶ月に1回程度が理想頻度です!コケやカビが発生していても、すぐに落とすことができます。
気軽に掃除に行くことができない方であれば、春のお彼岸、お盆、秋のお彼岸の時期に合わせて、墓石専用の洗剤を用意して、念入りに掃除すると良いでしょう。

墓石掃除をプロに任せるとどれくらい掛かるの?
専門家は何をしてくれるの?価格相場は?
プロの墓石クリーニング業者は、専用の洗剤やスクレイパー等の道具を活用し、お墓を隅から隅まで徹底的に掃除してくれます。水洗いや、こすり洗いだけでは落ちない汚れも、プロの技術でしっかり綺麗になります。
掃除をする前とした後の写真を送信するサービスを取り入れている業者もあるので、安心して任せられます。依頼相場としては、お墓の大きさやオプションにより1墓石2万円〜10万円程度を想定しましょう。
時間・期間はどれくらいでやってくれるの?
作業時間はおよそ1時間半程度です。業者によっては、年に数回定期的に掃除をしてくれるプランもあるので、忙しかったり遠かったりして墓石の掃除に行くことが難しい場合は、定期プランを利用することも検討できるでしょう。
墓石掃除に関連するよくある質問まとめ(Q&A)
墓石掃除でやってはいけないことは?
墓石掃除でやってはいけないこと、注意すべきことをお伝えします。
・強い力でこする
墓石を強くこすると、表面が傷ついたり、文字が消えたりする可能性があります。
・硬いブラシや金属製のスクレーパーの使用
これらは墓石の表面を傷つける原因となります。
・酸性やアルカリ性の強い洗剤の使用
これらの洗剤は石材を劣化させる可能性があります。pH中性の洗剤を使用することがおすすめです。
・高圧洗浄機の使用
高圧の水流は、墓石の表面を傷つける恐れがあります。
・乾いた状態での掃除
墓石を掃除する前に、しっかりと水で湿らせることが重要です。乾いた状態での掃除は、石を傷つける可能性が高まります。
・長時間の洗剤の放置
洗剤を長時間放置すると、墓石に変色やダメージを与える恐れがあります。ラベルの指示に従って、適切な時間だけ放置し、しっかりすすぐことが重要です。
墓石(お墓)掃除の適切な頻度は?
墓石の掃除の頻度は、墓地の環境や季節、墓石の材質や汚れの程度によって異なります。一般的には、以下の指針を参考にしましょう。
少ない汚れや環境下での墓地
年1~2回の清掃で十分な場合が多いです。
都市部や多くの汚れが予想される場所
年3~4回の清掃を推奨します。特に春と秋の2回は重点的に掃除すると良いでしょう。
特にコケやカビの発生が懸念される湿度の高い場所
3ヶ月に1回(季節に1度)の頻度でチェックし、必要に応じて掃除を行うことを推奨します。最終的には、定期的に墓石の状態を確認し、必要に応じて掃除を行うことが大切です。
墓石掃除でメラミンスポンジを効果的に使う方法は?
メラミンスポンジは、微細な研磨効果があるため、墓石の表面の汚れを取り除くのに適しています。まずはメラミンスポンジは水で十分に濡らしてから使用しましょう。
墓石の汚れた部分をメラミンスポンジでやさしくこすります。強くこすり過ぎないように注意してください。墓石の表面を傷つける恐れがあります。汚れを取り除いたら、墓石を水でしっかりとすすぎましょう。

墓石掃除で「激落くん」は使える?使い方は?
激落ちくんは、キッチンやバスルームなどの水回りの掃除によく使われるメラミンスポンジです。メラミンスポンジは、表面の細かい突起が汚れを吸着して落とす仕組みになっています。
墓石の掃除にも、激落ちくんは使うことができます。「激落くん」は水だけで汚れを落とすことができます。そのため、墓石専用の洗剤を使うよりも、石にダメージを与える可能性が低くなります。
水垢やカビ、コケなどの比較的軽い汚れに効果的です。頑固な汚れやシミには、墓石専用の洗剤や重曹を使うとよいでしょう。硬い素材なので、墓石に傷をつけないように注意が必要です。強くこすりすぎると、石に傷がついてしまう可能性があります。
激落ちくんの他に、墓石専用のスポンジやブラシも販売されています。墓石専用スポンジは、墓石にダメージを与えにくいように設計されているため、安心して使用することができます。
墓石掃除で「文字版」を綺麗にする方法は?
文字部分は繊細で傷つきやすいので、柔らかいナイロン製のブラシや歯ブラシを使用してやさしくこすると良いです!特に汚れが溜まりやすく、時間が経つと除去が難しくなるため、定期的な掃除が重要です。pH中性の洗剤や、前述の重曹やクエン酸を利用して、汚れを効果的に取り除きましょう。
墓石掃除に「キッチンハイター」は使える?
キッチンハイターは、カビやコケなどの汚れを素早く落とすことができる強力な洗剤です。しかし、墓石の掃除には、基本的にはおすすめできません。
キッチンハイターの主成分は塩素系漂白剤であり、塩分の性質上、墓石に付着すると、墓石の材質を劣化させる可能性があります。具体的には、変色や光沢の低下、ひび割れなどの症状を引き起こす恐れがあります。
また、キッチンハイターは、人体や環境にも有害な成分を含んでいます。そのため、墓石の掃除を行う際は、ゴム手袋やマスクなどの保護具を着用し、換気を十分に行いながら作業を行う必要があります。
とはいえ、キッチンハイターを使いたいという場合は、以下の点に注意して使用しましょう。
・墓石の材質チェック
特に、大理石や御影石などの天然石は、キッチンハイターとの相性が悪いので注意が必要
・キッチンハイターの希釈
キッチンハイターは、水で200倍に希釈して使用するのが目安
・短時間で使用
キッチンハイターを墓石に塗布した後は、5分程度で洗い流す
・水でよく洗い流す
キッチンハイターを洗い流した後も、水で十分に洗い流して、残留物を残さないようにする
なお、墓石を掃除する際には、以下の方法がおすすめです。墓石は、ご先祖様の安らぎの場所です。丁寧に清掃して、ご先祖様を敬う気持ちを表していきましょう。
高圧洗浄は使える?使い方のコツと注意点
高圧洗浄機を使って墓石を掃除すると、コケなどを効率よく落とすことはできますが、墓石に強い力がかかるので、長時間の使用は避けたほうが無難と言えるでしょう。
また、お墓によっては高圧洗浄機の持ち込みが許可されていないケースもあるため、事前の確認が大切です。
重曹はどのように使う?ポイント注意点とは?
重曹はアルカリ性で、油汚れやコケを取り除くのに効果的です。重曹を使って墓石の掃除をする場合、水に重曹パウダーを溶かして掃除をすることができます。
最初に目立たない箇所を掃除して、傷がつかないかどうかをチェックしてから、全体を掃除するようにします。墓石によっては、重曹で研磨することで傷がつくことも考えられるからです。
お酢・クエン酸は墓石掃除に効果的?
お酢やクエン酸は酸性なので、墓石の水垢や水跡、カルキを掃除するのに効果的です。水で5%程度に薄めたものを墓石にかけて、スポンジ等でこすり洗いします。
その後はすぐに水で洗い流し、お酢やクエン酸の成分が墓石に残らないよう十分注意して使いましょう。
この記事のまとめ:墓石の掃除について
墓石掃除は故人への敬意として大切な作業です。始める前に、墓石を十分に濡らすことで、汚れが落ちやすくなります。天然のクリーナーとして、重曹やクエン酸はおすすめ。重曹は油汚れやコケ、クエン酸は水垢やカルキに効果的です。文字部分の掃除には特に注意が必要。繊細な部分のため、柔らかいブラシを使用し、優しく洗いましょう。
掃除後は、水でしっかりすすぐことを忘れず、石が乾燥するのを待ちましょう。そして、最も大切なのは、故人が安らかに眠れるよう、心を込めて掃除できると良いですね。墓石掃除、本記事も参考にぜひ励んでみてください!