【5分で実践】包丁の手入れで間違わないための4つの知識
毎日の料理に使う包丁にはこだわりたい、お気に入りの包丁をできるだけ長く使いたいと思っていても、間違ったお手入れをして、逆に包丁の寿命を縮めてしまっては大変です。包丁の品質を長持ちさせるために、ぜひ覚えておきたいお手入れの知識をご紹介します。
目次
1)包丁の手入れが大切なのはなぜ?
(1)手入れをするメリットとは?
包丁は、固いものから柔らかいものまで、様々な食材を切るために毎日使うので、想像以上に刃が傷んだり、汚れが付着したりしています。正しいお手入れをすれば、切れ味の良い状態を保ち、手に馴染むほど長く使うことができるというメリットがあります。
(2)手入れを怠った場合のデメリットとは?
包丁の手入れを怠ると、刃がどんどん消耗していって切れ味が悪くなり、料理の見た目や味に大きく影響してしまいます。また、鋼でできている包丁であれば、サビが発生するという大きなデメリットがあります。
(3)包丁の手入れの基本的な考え方とは?
包丁のお手入れは、それほど時間や手間がかからず、使うたびに簡単にできるものです。また、少し時間に余裕のあるときに、砥石を使って丁寧に研ぐことで、切れ味や品質を長持ちさせることができます。気負わず、できることから取り組んでいくことをお勧めします。
2)準備をしよう!包丁のお手入れに準備したいアイテム4選
(1)スポンジと中性洗剤
包丁の毎日の基本的なお手入れには、スポンジと中性洗剤があれば十分です。軽い力で、包丁の背の方から刃先に向かって一方向にこするようにして洗います。
(2)クレンザー
鋼の素材の包丁にサビが生じてしまった時のお手入れには、クレンザーを使います。粉末タイプでもクリームタイプでも、現在お使いのものをそのまま活用できるので安心です。
(3)簡易研ぎ器
揃えておきたいアイテムの1つが、包丁の簡易研ぎ器です。棒状になったものや、砥石の間の溝を通すタイプのものなど、簡単に入手できますし、短時間のお手入れで切れ味をある程度回復させることができるというメリットがあります。
(4)砥石
包丁のお手入れに準備したいアイテムとして、重要なものが砥石です。包丁を研ぐのは難しいし、時間がかかるのではないか、と思うかもしれませんが、意外に簡単に扱うことができます。ステンレス素材にも鋼素材にも使える合成砥石を準備するとよいでしょう。
3)掃除の手順とは?包丁のお手入れ4STEP
(1)STEP1:スポンジと中性洗剤で洗う
包丁を使い終わったら、中性洗剤を含ませたスポンジで、背の方から刃先に向けて全体を軽く洗ってお手入れをします。この際にスポンジを往復させたり、刃の側から洗ったりすると、手を切ってしまう危険性があるので注意が必要です。食材の臭い移りや雑菌の繁殖を防ぐため、一種類の食材を切り終えるたびに洗うことがポイントとなります。
(2)STEP2:熱湯をかけてから水分を拭き取る
包丁の中性洗剤を洗い流した後、熱湯を刃の部分にかけ、火傷に注意しながら布巾やタオルなどで水分を拭き取ります。その後、自然乾燥させてからしまうようにします。
出刃庖丁、刺身包丁といった、使う頻度の少ない和包丁を長期間保管する際には、上記の方法で熱湯をかけて拭き取った後、歯に薄く油を塗ってサビ対策を施してから、新聞紙で包んで湿気の少ない場所にしまっておきます。
(3)STEP3:簡易研ぎ器で研ぐ
包丁の切れ味が悪くなっている、と感じたら、簡易研ぎ器を使って刃がシャープになるようお手入れをします。お手入れをした後は、上記のSTEP2を参考に、熱湯をかけて水分を拭き取り、自然乾燥させます。
(4)STEP4:砥石を使って研ぐ
本格的に包丁の切れ味を回復させたい場合は、砥石を使ったお手入れがお勧めです。研ぎ方のポイントは後述しますが、研いだ後はやはり熱湯をかけてから自然乾燥の手順で、きちんと乾かしてから収納しましょう。
4)要注意!掃除で注意する2つのこととは?
(1)刃先で怪我をしないよう注意する
包丁のお手入れで最も気をつけるべきなのが、刃先で怪我をしないことです。無意識のうちに、流れ作業のように包丁を洗ってしまい、利き手ではないほうでスポンジを使ったり、刃の部分を往復させて洗ったりすると、指を切るという思わぬ大怪我につながります。どんなに急いでいても、背の方から一方向に、というポイントを忘れないようにします。
(2)簡易研ぎ器はこまめに使う
シャープナーなどの簡易研ぎ器は、短時間で包丁のお手入れができ、切れ味が良くなるのでとても便利です。しかし、砥石を使って本格的に研いだ場合と比べると、やはり切れ味の良さは長持ちしません。切ったものの型崩れが気になったり、トマトの薄皮が上手に切れないと感じたりしたときに、こまめに使うように心がけます。
5)ぜひ覚えたい、砥石を使った研ぎ方のポイント
一見手間と時間がとてもかかりそうに感じる、砥石を使った包丁のお手入れですが、何度か繰り返すうちに慣れていくので、ぜひ定期的に取り入れたいものです。
1つ目のポイントは、砥石を水につけて十分濡らすことです。20分ほど水につけると良いでしょう。研ぐ包丁も濡らしてから、砥石に対して約45度の角度になるように置き、刃が約15度の角度で砥石に当たるようにします。ポジションが決まったら、包丁を前後に動かして研ぎます。
また、刃渡りが15〜20cm程度の包丁の場合、先端、真ん中、手元の順に3回に分けて研ぐこともポイントです。両刃の包丁であれば、反対側も同じ要領で研ぎますが、刺身包丁や出刃庖丁といった片刃の包丁は、片側だけで大丈夫です。
刃こぼれや傷等が整ったことを確認し、木のまな板や丸めた新聞紙などを軽く2〜3回切るようにして、「かえり」を取り除くことも重要なコツの1つです。「かえり」が残ったままでは、切れ味が悪くなってしまうからです。最後にもう一度両面を2〜3回ずつ研いで仕上げます。
6)包丁の素材別のお手入れ方法とそのコツとは
(1)ステンレス
入手しやすく、お手入れもしやすいステンレスの包丁は、上記のステップを参考に、日々の簡単なお手入れと、切れ味が悪くなった際の砥石を使ったお手入れを続けていくと、長持ちします。刃の部分と持ち手の部分が分かれているタイプの場合、境目に頻繁に水をかけたり、水につけっぱなしにしたりすると、水分が溜まってしまうことがありますので、避けたほうが無難です。
(2)鋼
鋼の包丁はサビが発生しやすく進行も早いので、収納する前に必ず水分を完全に拭き取ることと、油を薄く塗って新聞紙に包んで保管するというお手入れの手順を欠かさないようにします。
(3)セラミック
最近人気があるセラミックの包丁は、軽くてよく切れますし、金属ではないのでサビが発生する心配がなく、お手入れが最も簡単だと言えるでしょう。中性洗剤とスポンジを使ったお手入れだけで大丈夫ですし、食器洗浄器で洗うことができるタイプもありますので、砥石を使ったお手入れなどをする余裕がない、という方にはお勧めです。
ステンレスや鋼素材の包丁に比べるととても軽く、大きいものや硬いものを切ることには向いていないので、頻繁に使う食材や用途を考えて選ぶようにしましょう。
7)こんな時はどうしたらいい?傷やサビなど緊急時の対処方法
(1)素材が剥がれて傷になってしまったら?
包丁は、頑丈そうでありながら繊細な道具です。無理に動かしたり、強い力をかけて包丁をひねったりすると、刃こぼれを起こしたり素材が剥がれたりすることにつながりかねません。お手入れを怠り、切れ味が悪いままですと、余計にそうなりがちです。
普段から、簡易研ぎ器や砥石を使って、切れ味の良い状態をキープしておけば、力任せに包丁を使うことは少なくなるはずです。それでも傷や軽度の剥がれが生じてしまった際には、砥石を使って丁寧にお手入れをし、包丁の状態を改善させるようにします。
(2)一番の大敵、サビ防止に必要なことって?
お気に入りの包丁にサビが発生してしまうと、クレンザーを使ったり、砥石で研いだり、鋼素材の包丁であれば金属用のサンドペーパーでこすったりするなど、お手入れに余分の時間と手間がかかってしまうので、ぜひとも回避したいものです。
シンプルなコツですが、酸性の強い食材、例えば柑橘系の果物やトマトなどをカットした後は、そのまま放置するのではなく、中性洗剤とスポンジを使ってすぐに包丁を綺麗に洗うように心がけます。毎回熱湯で洗うことはできなくても、お湯で洗って布巾などで水分を拭き取るだけでも、サビを防止することにつながります。
8)覚えておきたいメンテナンス方法・裏技はある?
(1)砥石を使って研ぐ頻度はどのくらい?
砥石を使った包丁のお手入れに挑戦してみたいけれど、敷居が高く感じる場合、まずは2週間に1回程度の頻度で研ぐ習慣づけをすると良いかもしれません。少しずつ研ぐ手順に慣れてきたら、1週間に1回の頻度にすることができます。
すぐに砥石を使える余裕がないときに、「切れ味が悪いな」と感じながらそのまま包丁を使い続けるのではなく、簡易研ぎ器を活用して、ある程度切れ味を整えておくように心がけると、時短につながります。
(2)砥石がない場合に使える裏技って?
砥石が家にない場合でも、簡易研ぎ器をこまめに使って包丁をお手入れすれば、ある程度の切れ味の良さを保つことができます。
簡易研ぎ器もないときには、裏技としてアルミホイルを包丁で何度もカットする、というものがあります。2つ折りにしたアルミホイルを包丁で数回切ると、小さな傷や刃こぼれにアルミの粒子が入り込み、切れ味が回復する場合もあります。ただ注意点として、あまりにも刃こぼれがひどいと、ほとんど効果がないことを覚えておく必要があります。
さらに、お皿やお茶碗の裏側に出っ張っている、糸底と呼ばれるザラザラした部分に包丁を当て、数回こするという裏技も、簡単に試すことができます。粒子が非常に細かく、ある程度研磨剤のような働きをする陶器の特性を活用したものです。この方法は、やはり一時的に切れ味が良くなるだけであることと、糸底がすり減ってしまうというデメリットがあることに注意しましょう。
まとめ
【1】包丁の手入れが大切な理由とは
【2】手軽に入手できる4アイテムで包丁をお手入れしよう
【3】シンプルな4ステップで切れ味の良さをキープできる
【4】ぜひ覚えたい砥石を使った研ぎ方のコツ
【5】素材別・トラブル別の対応方法を確認
【6】知っていると便利なメンテナンスのポイントと裏技